20151215

電車にて


俺はぼんやりしながら小田Q線に乗っていた。
車内に正午が射し込んで、照る白に頬の色をトバされながら窓から外を眺めていた。あまり現実味がなかった。

車内アナウンスが俺の意識から遠ざかりながら2分の遅延を謝っている。カセットテープみたいな音質が感情ない。そこにはやっぱり現実味がない。

流れていく風景は電車のスピードと等速で、街の緑や森の暗がりはピント合わす前に離れていく。さっきからずっと人の群れが見当たらない。まるで現実味がない。

線路沿いの路上駐車上を通り過ぎる時、人影があった。白髪のおじいさんが突っ立っていた。茶色のセーターを着た白髪のおじいさんは路上駐車上のド真ん中に突っ立って、両手を股ぐらに添えていた。小田Q線急行のスピードで駆け抜ける際、俺は、その時、俺は、彼の股ぐらに"きらきら"を見た。太陽光を反射して光っていた。虹。
俺は、それを車窓から見た。
その光景には、本当にちっとも現実味がなかった!!!!!!!!!!!!!!!!

20150726

世界報道写真展2015

ある場所では、化学工場で発泡スチロールに赤い着色をする仕事をしている人がいる。粉塵から身を守るためにサンタクロース帽子をかぶっているけど、クリスマスは知らない。「たぶん旧正月みたいなものだろう」と思っている。
ある場所では、人々がテニスの試合をどうにか見ようとしている。
ある場所では、工場のスモッグで家畜が死に果て、無数の羊の置物をおいてごまかしている。
ある場所では、性犯罪の前科者だけが集められた村でおじさんがひとりでバスケットボールをしている。
そういう、すべてのことが、現在この瞬間に同時進行で一斉に起きている。世界で。印象のバイアスで善悪や白黒と判断するのは各々の感想でしかなくて、本当はすべてがただ、そこで、起きているだけなのだ。
と、いうようなことを思って、話した。今津と観に行けて良かった。毎年この写真展は大切にしているって言っていた。やはりいちばん信頼できる感性だぜと思った。

20150420

夢(生田絵梨花の出てくる夢)

どこかのデパートは3階より上が全部ツタヤで、閉館後8階では時々ライブ映像が大スクリーンに流される。寝ている人もいる。寝てもいいからだ。まさおが寝ていて、乃木坂46の生田絵梨花ちゃんが座っていた。どうやら俺らは友達らしい。山田庵巳の映像が始まるとき、生田が「山田庵巳だいすき!」と言って画面に駆け寄った。おれも続いた。まさおも起きた。みんなで山田庵巳さんのライブ映像を見た。「レモン・ソング」という知らない曲をやっていた。(そんな曲はない)
明け方、家に帰るころには雨になっていた。生田絵梨花ちゃんはもういなくなっていた。
雨の日だしいっかと思ってまさおんち(どう見てもおれんちだけどまさおんちということになっている)ですごくダイナミックな立ちションをすると、窓から淳子さんが見ていて「あっちでやれ」と指差した。「気まずすぎる」と思いながら指された箇所でまた立ちションをする。もうしばらくまさおんちに来るのはよそう、今日も逃げるようにして、このまま帰っちゃおうか…そんなことを考えながらふと横を見ると納屋が開いていて、あらゆる重機がフレームの外された、むきだしの機械の状態で展示され、単一運動を繰り返している。それらは眩しいライトに照らされていた。

20150319

春夜サイゼメロンソーダ

地元のサイゼリヤで図書館で借りた本を読んでいた。もうすぐ今日が終わる。友田彩也香さんを彷彿とさせる店員さんが話しかけてくる。「23:45でドリンクバーの方清掃に入らせていただきますのでご了承ください。」
わかりました。こんなところでおまえは一体なんばしよっとーやと内的自我が地方の言葉で言っている。見ると、彼の表情はしらけている。ページに目を落とすとスカイパーフェクTV!と書いてあって、思い出したことがあった。ほとんど無自覚にTwitterを開く。


@keiichi_shibuya: よっつ半としのはなれた弟は、小学校では友達が全然できず、水槽の魚をずっと眺めて過ごしていたらしい。家を出る時に着込んだジャンパーを脱がずに授業を受けて、教科書やノートの上に配膳プレートを乗っけて給食を食べていたらしい。お父さんは、かつて「あれはもうダメかもな」と思ったらしい。いつだかあいつがお絵描きにハマっていた頃、自由帳を覗いたことがあって、そこにどんな絵が描いてあったかはほとんど憶えていないけど、ページの隅に一言「スカイパーフェクTV!」とだけ書いてあったことがある。おれはその時弟を本当にすごいと思った。だってだれもそんな事を自由帳に書かない。弟は自由帳にそういう事を書いて、「落ち込んだ時に使う言葉だ」と言って"ヤーレン"を、「嬉しい時に使う言葉だ」と言って"モロセセ"を発明し、その二つに様々なバリエーションを加えて遊んでいた。ひとりで。そのまま東京で三本指に入る進学校に進み、今年春から東大に行く。勝てるわけないんだよ。と思う。おれはいつだって他人の目を気にして生きている。それすらうまくやれてないけど。いつだって他人に褒められたり評価されたいと思ってしまうから、どこか媚びた態度をすべてに反映させてしまっている。そんなのは嫌だ嫌だ嫌だダメだダメだと思うけれど、それに気づいたのは20歳を超えてからで、染み付いたものを取るのは簡単じゃないですね。

地元のサイゼリヤは24時で閉まる。もうすぐ出ないといけない。こんな、追いやられたみたいな端っこの席でなんかちょっと薄いメロンソーダを啜ってまた、追い出されるように夜。春つっても寒いよねと思う。帰って寝て、また忘れるから。こんなことも。だからいんすけどね。