石井に会う。
「石井は、卒業したらどういう仕事をするの?」と俺が尋ねると石井は俯き恥ずかしそうに「げ…芸能関係」と呟いた。
ゲーー!向いてないよ!おまえは俺史が初めて捉えたガチオタクじゃねぇかよ。授業中に手なんか挙げないし、あてられたってぇ声がちっせぇじゃねぇかよ!おまえ、芸能界って、声がでかいやつが勝つんだぜ、声がでかいやつしかいないんだぜ!!…と俺は思ったけど石井の横顔にそんなこと言わない。
そこで画面の外から誰かが「トモ〜」と石井を呼んだ。
うちの学年に「石井」は2人いて、俺はもう片っぽのことも「トモ」のことも「石井」と呼んでいて、俺は石井のことを考えるとき頭の中ではいつも「知美…知美よ…」と呼んでいたのに、最後に会った時も昨晩も、結局石井と呼んでいて、俺の人生における後悔とはこういうとこの踏み出せなさであるね。夢の中の時制は会話から察するに2013年。俺のソーシャルディスタンスは距離にして7年もあるのだ。
──というようなことを7年と13時間経ってもなお、未だ落ち込み考えているが、7年前も10年前も17年前も20年前も石井のことが好きだった俺は、20/17/10/7年後にもう何もかも憶えていないですよ。思い出は宝箱を開ければとわにきらきらですね。
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