20210331

文化荘文化大賞2020

本年度文化荘文化大賞が以下の通り決定いたしました。


○大賞

 乗代雄介「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」

 菊地穂波「ミラキュラスウィークエンド」

 高橋源一郎「日本文学盛衰史」

○大賞最終候補

 酒井素樹「余命」

 柴田聡子「ナイスポーズ」


○選考ノミネート作品

 高橋源一郎「日本文学盛衰史」

 菊地穂波「ミラキュラスウィークエンド」

 木村美月「転がって、若草」

 牧野真莉愛「牧野真莉愛 イラスト執筆現場に密着!! 2」

 乗代雄介「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」

 養老孟司「カミとヒトの解剖学」

 柴田聡子「ナイスポーズ」

 


選考者:ワンダフルデイズモーニング、静谷静一、志水あみ、あさくらなおき

選考日:2021年3月31日

選考会場:ドトール西荻窪南口店


○選考者コメント:ワンダフルデイズモーニング

今年度の選考はかつてない難航を極めた。最終候補からさらに三作絞ることまではできたが、そこから先が進まないまま長い時間が過ぎて、ついに選考会自体が時間切れになってしまった。みつどもえとはまさにこのことであるが、”答えが出ない”という選考への敗北のような結果に、少なくとも自分は清々しさすら感じる。本当にすばらしいと思った作品に例年より多く出会った。そのことはむしろ喜ばしいことなのではないだろうか。自己弁護ではない。自己弁護ではないから、やはりこの結果でいいのだと思う。


○選考者コメント:静谷静一

例年と特色の異なる回だった。大賞が三作になったということもそうだが、そのどれもが小説作品だったという点である。特色が異なると言いつつ、いまこれを書きながら、しかしこの文化大賞においては”たったそれだけのこと”であるとも思う。これまでと今回とこれからの選考に、その他のジャンルが弱くなるという類の話ではないということだ。個人的には、コトバに拠らない理由で「牧野真莉愛 イラスト執筆現場に密着!! 2」がノミネートされたことや、RYUTistではなくあくまで柴田聡子作品として「ナイスポーズ」がノミネートされたことの方が大きな意味を持つように感じる。前者は好意的かつ頼もしく、後者は未だどこか不思議に思える。


○選考者コメント:志水あみ

今回の選考においては「何度も読み返し何度でも読み返したくなる」が大賞作品を決定づけ、そして一作品に決めきれなかった理由であると思う。これまでの回とは異なる趣であった。わたし達も途中まではなんとか一作品に決めようと思い、その中ではたとえば「ミラキュラスウィークエンド」と「日本文学盛衰史」は作品自体の発表年が2020年ではないので「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」で良いのではないかという意見も出たが、そもそも今年度の文化荘文化大賞にすでにノミネートされている作品をそのような消極的な意見に拠って推さないのでは賞そのものの根幹がゆらぐのではないかという反対意見に全員が収まった。選考の過程で賞自体の在り方を見つめ直すという時間を、その結論も含めて嬉しく思う。受賞には至らなかったが、強い言葉に拠るのではなくえもいわれぬ構造の巧みさでノミネートされた「転がって、若草」と、反対に言葉の強い吸引力のみでノミネートされた「余命」、そして「牧野真莉愛 イラスト執筆現場に密着!! 2」が並んだことも、ノミネート作品の幅が広がっているあらわれだと思った。


○選考者コメント:あさくらなおき

三作でずーっと迷う感じになったから、どれを選んでも大賞にふさわしいのならば唯一今年発表された「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」で良いんじゃないかと推したが、そういうことじゃなかったようだ。

20210312

夢(俺がウケると思って一人称を"本官"にしていた頃)

 本官の職場に石井(本官の初恋の女の子)とチェル(野中美希さん)が来場した。チェル(野中美希さん)は本官にチョコをくれた。本官は同僚に「いいのかな?問題になるかな?」と興奮して言った。

 石井は6年生の時に着ていたのと同じパーカーを着ていた。本官は同僚に「6年生の時もおんなじやつを着ていたんだ」と言った。

 館内にはフィッシュマンズの「ピアノ」が流れはじめた。どういうチョイスなんだろうと思ってから、ごった返す人の中で石井が立っていた方を見やると、彼女はまだそこにぼんやり立っていた。本官は手を振った。「おーい、おーい」

石井は本官に気づいたようだったけど、手を振り返すでもなく、少し不思議そうに本官を見ていた。

 本官は気づく。彼女は小学6年生の彼女なのだ。本官と彼女の時は断絶され、再び接続されたのだ。

起きると部屋で、つけっぱなしの音楽が流れていた。


諦めもせずに眠りについた
貴方のもとに忍び寄ってくる
ピアノがねぇ呼んでるんだよ
さみしそうな顔で
音楽が夢の中まで追い続けてくる