オモイデと戦ってる、こんな夜更けに。
オモイデは僕の頭ン中に、むらさき色をして沈んでおるのです。
僕は「音楽」という名前の不思議な武器をして、必死に戦っている。
愛しさとせつなさを投げて来るオモイデ。僕は抵抗する。
「赤いセドリック!」とか叫ぶ。これはAloha!って歌の歌詞なんだ。
やがてオモイデはだんだん姿を変え、妄想になってしまいそう。
だめだだめだ、そしたらそれはもう完全にまぼろしで、それはもうおれのじゃない!!
馬鹿!馬鹿か!帰ってこい!と絶叫しオモイデを銛で突き刺す僕。何度も何度も。
刺されつつ、オモイデは言う。
「渋谷くんになら、渋谷くんになら」
僕は泣いている。銛になっちゃった音楽片手に。
「音楽よぅ、オモイデが死んでも消えんよ」
「消えないねぇ。」
死んだと思ってた。
死んだと思ってたけど、オモイデは死んでなく、消えないのは死んでないからなのか、それとも死んだところで消えないのか実際の部分は分からないけれど、とにかくキャツは消えてもなければ死んでもなく、僕に牙を向けてくる。
音楽を僕はオモイデに突き刺す。力を込めた。
オモイデが笑った。
僕も笑った。
音楽も笑った。そして鳴く。
ダダダン ズダダン ダダダダダダタン……
「ずっと好きずっと好きずっと好きずっと好きずっと……」
オモイデの声がどこかから、風に乗ってきたみたいに聞こえます。
ボロボロになった音楽は銛の姿をやめました。
僕は今、頭の中の池のほとり。
なにか穏やかな気持ち。
友達は見当たらない。誰もおらんのです。僕と音楽と、姿は見えないけどオモイデしかおらなんだ。
「もうすぐ夜が明けるじゃない。」
音楽に話しかけてみた。
音楽は答えない。ずっとメロディーが流れていた。
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