20220123

プールサイド小景・静物

 小説──というかなんでもそうだけど、書かれていない出来事や時間を、読者は読むことができない。
 察することは出来る。予感や雰囲気を感じることで。しかし察してしまうということは時として、たとえば愛する人における「オレの知らない時間」を裏付ける行為になるし、またそれは言い換えれば相手と自分の間に断絶がおきるということでもある。他人であるということを思い知らされる。

 収められている短編はどれも、「断絶」を、やり方として読者と小説を「断絶」させることでヤッている。だけどそれですべてではない。
 『静物』で延々繰り返される「いまここにない」時間の伝聞は、「断絶」をされた後の「断片」たちが聞き手に接続を促す。

 私たちは他の時間を生きる他人だけれど、他人のままでもつながろうとすることができる。
 あくまで、他人のままで。
 聞き手というのは何も、登場人物に限ったことじゃない。

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