雨かよ。
桜をはじめて見たのは車の中だった。皇居お堀の一番好きな一帯を夜に飛ばして、本当は昼間にゆっくりと歩きたいんだ一番好きなんだよオレこのへん度数の低いジュースみたいなお酒片手に歩くとすごく良いんだよ、ほんとうに涙でちゃうくらい良いんだよ、そんな話 助手席としながら銀座方面へゴー。小雨パラついて雨かよって思ってふと見た左手には人だかりで、その人たちの頭上にはうすいピンクでだいたいは白、そういう花がたくさん咲いていた。
「桜だ!」助手席は言って、3月終わりに咲くもんなのかい桜って。早くね?人だかりはお花見に来てたみたい。せっかくなのに雨でかわいそうだな。時速50キロで離れていく桜の木々と人々に対し、時速50キロの中でそういうことを思った。
不二家のビルが見えてきて銀座だ。桜の白とは違う人工の光は眩いな。
「都会みたいなああいう光が好きなんだよね」
僕もああいう光が好きだと思った。幻想的な光は、怖いよ。ていうかそんなことより雨かよ。
最近すごくあったかくなってきたのにここにきて2日くらい雨。夜中にベッドを抜け出して縁側の濡れないところでホットレモンを飲んで庭に溜まった水たまりを見ていた。水たまりにはどんどん雨が降り続いている。その度波打つ水たまり見ていた。
都会の光から遠く離れた僕ん家の縁側で、信号の光を包んで落ちてくる無数の雨粒。水たまりに跳ねて溶けて、そんなこと本当にどうでもいいわ。はやく止んでくれ。
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